1993年、1994年に京都フラワーセンター初代園長 川勝隆男先生の全面的御協力をいただき撮影しました。
書籍にまとめる予定だった矢先の1995年秋に川勝先生が本当に突然お亡くなりになられ、計画は中止。
その後20年近く 日の目を見る事がなかったのですが、京都フラワーセンターもその後閉鎖され、このままでは余りにももったいないと思い ポジフィルムからスキャニングしました。
川勝先生の書籍出版の一番大きな目的が「品種名の全国統一」でした。
当時(20年前)は全国に一般流通する「蓮」関連の書籍がなかったため、関東と関西はじめ 地域ごとに品種名がまちまちでした。
すなわち同じ品種が地域によって異なった名称で呼ばれ、あたかも別品種のように扱われていたようです。(川勝氏談)
各地域の愛好家の間では 図録集のようなものも存在していたとも聞きますが、全国的なスタンダード(基準)となるものは当時は存在しなかったようです。
そんな経緯もあり、ここで記されている品種名は京都フラワーセンターで付けられていたネームプレートに基づきます。
20年という歳月も経ていますので、呼び名が当時とは変わっているものもあるかもしれませんが、その点はご容赦下さい。
フラワーセンターに川勝先生と一緒に泊まりこんで徹夜で撮影した「蓮の開花」。
噂に聞く「花が開く時にポンッという音がする」を検証してみましたが2回とも音は確認できませんでした。
おそらく開き始めた花弁がお互いに引っかかっていて、それが風の弾みか何かで一気に開く時に その花弁同士の擦れる音ではないか、と川勝先生と話したのを思い出しました。
驚く事に、開花した蓮の中には どこから潜り込んだのか 既に蜜蜂が数匹いました。
スキャニング・編集作業していると、20年前 真っ暗なフラワーセンター園内で懐中電灯点けながら撮影したことが懐かしく思い出されました。
川勝先生が撮影前に、隣接する陸上自衛隊の弾薬庫に電話され「夜中にハスの撮影をするので、ストロボとかを光らせるけど、不審者・侵入者と間違えて撃たないでくれ」みたいな事をおっしゃっておられたのを思い出しました。
あの夏は2年続けて台風の多い年でした。
せっかく咲きかけていた蓮が 台風被害に遭って、撮影できなかった品種もいくつかありました。
スキャニング作業が終了した後あたりから Macの調子が悪く、ようやく先日ロジックボード交換修理されて直りました。
予定より1週間以上公開が遅れてしまいましたが、なんとかお盆の時期に間に合ってよかったと思っています。
1993・1994年の開花時期、2〜3日に1度のペースでお伺いさせていただき、撮影に際し 甚大なご協力をいただいた 故 川勝先生にこの場を借りて改めてお礼申し上げます。
そして刊行に至らず、志半ばで急逝された事が未だに非常に残念です。
もしも天上界にもインターネットがあれば 是非ご覧いただきたいものです。