音の創り・構成は EAGLESの "Long Road Out Of Eden" に通じるものがある。
しかしそのEAGLESがもはや「巨大な音楽産業」と化していることから 作品自体からあまり「音楽愛」というものを感じられなくなっていた。
2007年の "Long Road Out Of Eden" は数回聞いただけで「もうイイや」と思ったものだ。2011年の来日公演もパスした。2004年の来日公演は行ったけど、そつなくまとめられてはいるものの面白みが全くなかった。カッコイイと感じることもなかった。
歳のせいか?とも思ったが、ZZ TOPがいまだに精力的に活動していることと比べると、もはやEAGLESは音楽に対する情熱も冷め、守りに入っている状態なのかもしれない。
EAGLESメンバーとほぼ同じ歳のDon Felderなので、前作 "AIRBORNE" も今ひとつ魅力に欠ける出来だったので、今回もどうかな〜と思って聴いてみた。
「なかなか良い」というのが聴いた直後の感想。
彼の 音楽に対する情熱は失われていなかったようだ。
確かに最盛期の "One Of These Nights" や "Hotel California" に聴かれる官能的なギタープレイは少なくなったものの「流麗かつヘヴィーなギターワーク」は健在。(特にタイトル曲)
「スリリング」は「熟成」に置き換えられた感は否めないが、近年のEAGLESよりはずっと好感を持って聴けそう。
EAGLESは本来「歌」が中心のバンドであって、演奏技術は高くなかった。(一番の問題はDon HenleyのDrums。BassもRandy Meisnerは "Bassist" と呼べたけど Tomothy B.は・・・。 Guitarの腕前もJoe WalshよりはDon Felderのほうが上だった。)
そんな理由で、再結成後のEAGLESのライブ演奏はメンバーの何倍もの人数のサポートミュージシャンに支えられている。レコーディングも同じように多くのスタジオミュージシャンを使っているものと想像。
スタジオミュージシャンを使ってのメリットは確かに多いが、逆に 音楽にとって一番大事な「魂」が希釈されてしまうデメリットも併せ持っている。(極稀に Duane Allman や Jeff Porcaroのような歌心を持ち合わせた素晴らしいプレイヤーも存在したが・・・。)
そういう観点から、今回のDon Felderのソロアルバムは気心の知れたミュージシャンたちとゆっくりと時間をかけて制作したものと思われ、奇を衒った部分や気負いもなくゆったりとした雰囲気でよくまとまっている という印象を受けた。
それと、彼は歌がすごく上手くなってる!
Vocalistとしてはしんどいけど、GuitaristのVocalとしては充分。
まだ数回しか聴いていないけれど、自分の中で Heavy Rotationになる兆しあり。