土曜日, 1月 16, 2010

The Story of ANVIL (アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち)



昨日15日、10月末の東京行き(息子のインフルエンザのため中止)の頃から楽しみにしていた映画「アンヴィル! 夢を諦めきれない男たち」をやっと観る事ができました。

1980年代、音楽界に絶大な影響を与えたものの、ほとんど存在を忘れ去られていたヘヴィメタルバンド、アンヴィルの軌跡を追ったドキュメンタリー。

メタルは正直大っ嫌いで全く聴いていませんでした。
でも宣伝の
[(前略) 2008年、そんなアンヴィルに突然転機が訪れた。なんと、彼らの現状と生活をそのまま描いた映画が誕生したのだ。しかも、あろうことに、その映画の出来 がすこぶる素晴らしい。キアヌ・リーブスが世界応援団長を買って出るという事実、マイケル・ムーアが「ここ数年のドキュメンタリーで最高傑作!」と絶賛 し、ダスティン・ホフマンにいたってはLAのプレミア上映後楽屋を訪れ「この映画を見る迄ヘヴィメタは大嫌いだった。しかし、今まで見た映画の中で最も心 に刺激を受け感動的で美しい映画だ!」と興奮気味に語ったという、とんでもないことになっているのである。
(中略)
これは、30年間夢を諦めなかった男たちの夢と友情を描いた笑って泣けるウソのような本当のお話だ。サンダンス映画祭でプレミア上映されるやいな や多くの観客の心をつかみ、全米公開のプレミア上映後には、先のキアヌ・リーブス、ダスティン・ホフマンを始め、オジー、メタリカ、ガンズなどがこの映画 の応援を買って出た。監督は、スティーヴン・スピルバーグの『ターミナル』の脚本を手がけたサーシャ・ガバシだ。

アンヴィルは、カナダのトロントで結成され、1982年にアルバム『メタル・オン・メタル』をリリース。後にビッグになる数多くのメタルバンドに 影響を与えたというが、彼らはスターダムにのし上がることなく、現在も地元でしがない仕事をしながらバンドを続けている。映画はそんな彼らの夢と現実を きっちりととらえているのだ。

実は、サーシャ・ガバシ監督とアンヴィルには縁があった。ガバシ監督が高校生の時、夏休みにアンヴィルに誘われローディーとしてツアーに同行した 経験があるのだ。それから数十年。ガバシ監督は、アンヴィルが昔と変わらずロックスターになることを夢見て活動を続けている事実を知り、驚愕すると共に胸 を打たれ、彼らのドキュメンタリーを制作することを決意したのだという。

トロントで地道な仕事をしながらのバンド活動や、笑わずにはいられない悲惨なヨーロッパ・ツアーの様子など、2年に渡って撮影を敢行し、アンヴィ ルの本当の姿をとらえ続けた。監督は、どんな苦境に立たされても、不器用なまでに自分の信じることに夢を持ち続け、友情を一番に考え苦境を乗り越えようと チャレンジするバンドの姿を、余さずカメラに収めることに成功した。

フィクションではなく、本当の彼らをとらえ続けた2年間、映画の中のストーリーはそのまま現実の世界につながっている。13枚目のアルバムを作ろ うとする彼ら、いきなりフェスの出演依頼を受ける彼ら…それらは全て現実のアンヴィルの活動とシンクロしているところもこの映画の面白さだ。

夢を諦めきれないすべての人に捧げる、笑いと感動に満ちた本作は、観るものをきっと虜にするだろう。]
に食指を動かされ、30年来の付合いの元バンドメンバー(G)と 後輩(B)の男3人で大阪梅田のレイトショーで観てきました。

正にその通りでした。
過剰な演出もほとんどなく、現実をそのまま記録したに違いないドキュメンタリー作品。
音楽ものに付き物の「演奏シーン」も「えっ!?」と思うほど少ない。(1曲丸々はなかった。本当に表現上最小限。)
これによって 音楽ジャンル云々に関係なく、彼等と家族との絆を中心にした普遍的なストーリーが紡がれていく。

「ロックスターになる」という夢を捨てきれずに厳しい現実にも自暴自棄にならず、自らの信念を貫き、自作曲に並々ならぬ愛情と誇りを持つ・・・。
「1枚の名作とよばれるレコードを作るよりも、自分の人生そのものを名作にしたい。」「今がどん底だからこれより悪くなる事はないだろう。もしも このまま終わってしまってもオレは後悔しないぜ。自分の好きな事を精いっぱいやって来れたからな。」「毎日朝から晩までしがない仕事で食いつないでいる が、愚痴を言う気なんて全くないぜ。この仕事のおかげでまたライブができるんだからな。感謝してるさ。」

成功したスターの言葉のように格好良くはないけど、胸を打ちます。
切なさも感じさせるけど、これも彼等の「生きた言葉」だからでしょう。

とんでもなくクレイジーで少年のように純粋無垢なバカオヤジ二人の愛すべきストーリー。

Michael Jacksonの"THIS IS IT" や "AVATAR" などの話題大作の影に隠れてあまり知られていないようだけど(興行スタイルもすごく規模が小さい)、ロードムービーというかドキュメンタリーというか、虚 構の世界を描いた娯楽作品とはまた違った味があってよかったです。