日曜日, 9月 06, 2009

アナログレコードからのCD化作業

今から25年以上前 まだアナログレコードが全盛だった頃(CDの発売は1982年で 量産第一号機はSONYの¥168,000のモデルだった)に買い漁っていたLP・・・。

初期のCDはデジタルリマスターされておらず、単にLP用のマスターテープをCD化しただけだった。しかもデジタルの弱点である「0dbクリッピング」をエンジニアが極度に怖れたせいか 録音レベルの低いものがほとんどだった。
どういう事かと言うと、音が小さいのは当然ながら、全体的に線が細く中低域の音圧が不足し、ペラペラの音。
値段も国内盤LP¥2,500に対し CDは¥3,200〜3,800位だったように憶えている。
しかもCDで発売されるのは当然ながら売れ筋の物ばかり。
輸入盤(US物)でもその傾向は同じだった。

そんなわけでCDプレイヤーが発売されても5年ほどはLPばかり買っていた。
1987年後半あたりからボチボチと聴きたいアーティストのCDが出てくるようになり ようやく満を持してSONYのCDP-333ESD購入。
当時はTower Record(その当時は国内盤は扱っていなかった)なんかではLPと併売していた為、売り場の棚(LP用)流用の理由からかCDは 高さがLPとほぼ同じ紙箱(Jacket)に入って売られていた。(海外の販売事情でしょう)

いつの間にかCDのシェアがLPを抜き、売り場でもこの紙ジャケット箱入りのCDを見かけなくなってしまった。

この頃からCDのデジタルリマスター盤が「再発」という形で出てくるようになった。
(中にはZZ TOPの6Packのように エンハンサー、イコライザー等のデジタル処理しすぎて オリジナルの味わいを失った失敗作もいくつかあった。ZZの場合は後のChrome〜で元のLondonレーベルの音に戻ったので安堵した)

しかし、すべてのLPがCD化されるわけでもなく、商業上の採算性からか、契約上の問題からか、いくつかお気に入りのタイトルがCD化されていない。

Les Dudekは近年ボチボチリリースされ始めたけど、最初のCBS SONYからではなくReissue専門のマイナーレーベルだったり・・・。
Atlanta Rhythm Sectionの名盤ライブ "Are You Ready" も何故かこのタイトルだけが未発売。
Emmylou Harrisの "Evangeline"も然り。
Cate Brothersもほとんどのタイトルが廃盤になったままのよう。

そんな中、1981年と1982年にリリースされたSteve Cropperのソロアルバム2枚(日本盤
注1 )がいつまで経ってもCD化されない気配なので先週思い切って(久しぶりに)LPからのCD化作業を行なった。 

注1;当時は盤の品質としては圧倒的に日本盤の方が上! 盤のソリは皆無だし、スクラッチノイズもほとんど無かった。しかしその後国内盤は本国盤に比べ発売が遅れる事や、微妙な音質の違いから「アメリカの音源はUS盤、イギリスの音源はUK盤!」で買うようになった。

 
オーディオシステムはアナログ全盛期(CDが世に出る直前。おそらくレコードプレイヤー関係の製品レベルが最高だった頃?)の1982年に買い揃えた(古いけど 当時の音を再現するには最高、だと自分では思っている・・・)フルサイズコンポ群。

ちなみに今回CD化に関連した機器は
レコードプレイヤー・・・Victor QL-Y77F
カートリッジ・・・Audio Technica AT150Ea/G (VM型)
プリメインアンプ・・・SANSUI AU-D907F Extra

これらの出力を金メッキ処理されたRCAコードを介してI・O DATAのD/Aコンバーターを使ってMacのUSBに接続。
Sound it! 5.0 というMac用サウンド波形編集ソフトを使って 曲毎に区切り、曲間ノイズもフェードイン・フェードアウトで処理。
音質補正は前回(Cate Bros.、Henry Paul Bandの時)少しやり過ぎたかな、と反省すべき点があったので今回は全くの無補正。カートリッジの音そのまま。
(テクニカのAT33EMC、150Ea、SHUREのM75ED Type2もあるけれどもCD化にはこの150Ea/Gが一番クリアな音で最適かと・・・。聴くだけなら150Eaがベストかも。SHURE M75は中低域がぶっといけど、SANSUIとの組み合わせではスピーカーからの音は少し太過ぎる。33EMCはムービングコイル型の特徴である繊細さと この機種特有の華やかさは魅力だけど今回の音源には今一合わなかった。←JAZZには最高!)

というわけで、レコードからの音源吸上げから切り出し・調整に数日を要し、ようやくCD-Rに焼き込み完了。
ここ十数年 CDを聴き続けた耳にはやはりスクラッチノイズとほ〜んの僅かなクリッピングノイズが気になるけど、久しぶりに懐しい音源に触れられて幸せ。
今回ついでに Reddogのアルバム2枚もCD化。
そしてARSの "Are You Ready" も音源吸上げ作業中。(完了日未定・・・)


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ついでに備忘も兼ねて オーディオ機器リスト 

レコードプレイヤー・・・Victor QL-Y77F (電子制御アーム) (¥108,000)
カートリッジ・・・Audio Technica AT150Ea/G (¥25,000)、AT150Ea (¥25,000)、AT33EMC (¥35,000)、SHURE M75ED Type2 (¥21,000)
プリメインアンプ・・・SANSUI AU-D907F Extra (実効出力 130W+130W) (¥175,000)
FM/AMチューナー・・・SANSUI TU-S607 (¥49,800)
CDプレイヤー ・・・SONY CDP-333ESD (¥89,800)
カセットデッキ・・・EXCELIA XK-009 (Dolby B・C, dbx) (¥98,000)、Aurex PC-X66AD (Dolby B, adres) (¥64,800)
スピーカー・・・PIONEER S-180 (32cm 3-way) (¥55,000×2)
ヘッドフォン・・・Audio Technica ATH-M9X (Studio Monitor) (¥25,000)
ダイナミック・プロセッサー・・・PIONEER RG-70 (¥35,000)
38cm/s 2トラック オープンリールテープデッキ・・・SONY製(しまい込んであるので型番不祥 発売当時推定¥500,000前後 中古で購入)

 
つくづく道楽・・・
ちなみに独身時に買ったものがほとんど。
今から考えれば 社会人なりたての頃によくもこんなに金を使った(クルマに比べれば安いけど)と思うけど、安物でなくそこそこの物を買ったお蔭でみんなまだ現役で鳴ってます。(ネット上で調べたら 現在でも名機として評価高いようです)

ちなみに当時(と言っても1年間だけど)、オーディオ専門店に勤めていました。給料はほとんどオーディオに流れて行った??? このままでは将来危ないと思い、足を洗いました。(笑)     客に薦める前に自分が欲しくなってしまうもので・・・。

やっぱり'70年代サウンドを聴くには当時の機器が一番合ってる。(と 新しい機器に買い替えられない自分への慰め・・・)

(これから寒い時期になると CDプレイヤーのトレイが出てこなくなるんだよね〜。今からは考えられないほどふんだんに金属パーツを多用しているため冬場は冷え易く内部のベルトが硬化するみたい。もはや交換修理部品入手不可だし・・・。いつまで頑張ってくれるかな?)
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追記;
1980年代半ば頃までにリリースされた初期のCDはほとんど「音が屁」です。 

個人的に一番驚いたのは Ry Cooderの "Bop Till You Drop"
当時('80年代中頃まで)はスタジオでのレコーディングには38cm/secとか76cm/secとかのオープンリールをマスターに使う事が多 かったのですが、このRyのアルバムはデジタルレコーディングと言う事で1979年当時かなり話題になりました。この発売年度からわかるように、当時はま だCDなど存在せず 従来からのアナログLPレコードでした。しかし音のクリアさには驚いたものでした。
1987年にCDプレイヤー買った時に最初に買った数枚の中にこのアルバムも入っていましたが、聴いてみてガッカリ。
アナログレコードからカセットテープ(それもノーマルテープ)にコピーしたものよりも音が悪かった!!! 音圧は低いし、中低域出ていないし、ペラペラの音だし・・・FM放送並み!
正直 この時点で当時のデジタルの限界を認識しました。(偉そうに・・・)

当時まともな録音(Remaster)されていたのは Dire Straits の "Brothers In Arms" 位じゃなかったでしょうか?(←名盤です!)

可聴周波数帯域 20〜20,000Hzにフォーマットされたデジタルオーディオの世界は当初 どれも同じように考えられていたのですが、デジタル信号をアナログに変換した後の音に各メーカーの特色が表れていました。

取扱いの安易さ、ノイズの少なさ等デジタルオーディオには後発ゆえのアドバンテージ、メリットは多々ありますが、純粋にオーディオとしてみた場合はやはり熟成され尽くしたアナログ(特にレコード再生系)に軍配が上がります。(個人的に)

レコードプレイヤーなんかも音響特性考えて天然の木製キャビネットに大型インシュレーター採用。アンプ、デッキ類も共鳴を押さえる為に敢えて重量級に設計され当然ながら金属シャシーを採用。安価な樹脂部品は極力使われていなかったです。

僕が現在使用しているオーディオ機器を揃えた1978〜1987年当時はコンポーネントオーディオの最盛期だったように思います。
1982年のCD発売、その数年後のDAT発売 と続くデジタルの台頭に各メーカーのアナログ大好きエンジニアが自社内デジタル部門の技術を採り入れつつ 既存技術に磨きをかけた(最後の)時期ではないかと推測します。

残念な事に世間的には住宅事情も影響してか '80年代半ばから ミニコンポ(形ばかりのコンポ。他社製品と組み合わせる事など想定外。個々の製品は完成されていなかった。シリーズで組み合わせてこその商品。)が台頭し 始め、フルサイズコンポは徐々に店頭から姿を消していきました。

今もヘッドフォン(ATH-M9X)でアナログレコード聴いているのですが・・・・プレイヤーとカートリッジはまさに「楽器」ですね!

詳しくは説明できないけど、工業製品としてよりも工芸品に近いような・・・
温もりと言うか、演奏者の息吹を伝えると言う意味ではやはりアナログの世界は捨てがたいです。

しかし100〜300時間程度で交換時期が来るレコード針(¥15,000〜20,000)ってiPodなんかの事考えるとメチャクチャ高い!

昔はそれだけのコストをかけて余りある魅力的な音楽が沢山存在したという事でしょうか・・・?


時々 ふと思う事。
'70年代〜'80年代前半の音楽が素晴らしいと思うのは、単に自分がその時代に青春期を過ごしたから?
違う世代の人々はやはり自分の青春期の音楽が一番いいのでしょうか?
最近 '70年代サウンドが人気になっているようにも聞きますが、騒いでいるのは僕と同じ世代の人間だけなのでしょうか?
(友人は当然同世代が多いので 比較できません。個人の趣味の違いもあるし・・・)


オーディオの世界は「底なし沼」です。
一度足を踏み入れたらなかなか抜け出せません。(ドラッグよりも怖いかも)
僕は危うく沈んでしまうところでした。(それ以降 極力オーディオ製品は見ないようにしています) 

もう一つの落とし穴・・・オーディオにのめり込むと、本来は音楽を再生するための装置なのに「音楽を聴かずに 音を聴く」という本末転倒な事になりかねません。 (「木を見て森を見ず」と同じ事)
音響技術の進歩の影響か、'80年代後期から'90年代にかけては「音のいい音源」は世に溢れたけども「魂の入った音楽」は少なかったように感じられます。

「好きな音楽」って音が聞こえなくても(再生音悪くても) 音が見えません?